Sunday, July 02, 2006

身障者の服飾デザイナー

世の中には、私の想像していないことを、こつこつとやっておられる方がいるものだとつくづく感じた。

数日前のこと、私の知り合いが二人で私のオフィスを訪ねてきた。

実はこの二人も奇特な人である。

人間の尊厳を日夜追求している。
すなわち、寝たきり老人を何とか歩けるようにしたい。
ベッドに寝かせているだけで、老人を手厚く介護しているという発想が気に入らない、と怒りまくっている。

しかも、この4月から介護保険法の改正があり、介護そのものに対する予算も削減されてしまった。
もう人間の尊厳などといっておられない。

そんな二人が立ち上がった。
一人でもでもいいから、解ってもらおう。
そのためには勉強会を始めようというもの。
そこで、そのセミナーにぜひ出席してほしいということ。
私は、あまり期待せずに昨日行ってみた。

すると、そこには主催者側の三人プラス講師の先生しかいない。
私は5分遅れていったが、それにあわせてセミナースタート。

講師の先生は前田晃子(まえだてるこ)先生。
話を聞くと、この先生は身障者の方を外に出そう、と真剣に考えている。
身障者が外出できないのは、外出するための服がないことに気がついたという。

身障者には手や足が自由に動かせなかったり、腰が曲がったりで、そんな服などどこにも売っていない。
だから、外出できないのだという。
その先生は、10年前から自分のライフワークとして、いろいろな障害者の人の服をデザインしてきたという。
身障者の方が容易に切ることができるよう、スーツをバラバラに切り、その上で、ファスナーをつけていく。
また、老人などはオムツを変えられやすいように、洋服をデザインする。

前田先生の話を聞き、デザインしたズボンやスーツ、ワンピースなどを見せてもらううちに、これはすばらしいと思った。

前田先生はすでに60歳を超えておられる。
私のホームページで先生の作品を紹介したいといったら、残念ながら自分ともう一人が製作しているから、多くの注文は受けられませんという。

わたしは、前田先生のライフワークを皆さんで支援してやることはできないかと思っている。

まさに人間の尊厳である。

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